BACK                   ATELIER VEGA             2003.1.15更新

 NO6<ブカレスト市民の冬> 

ブカ美大のクリスマスパーティ

NO6<ブカレスト市民の冬>
12月に入り街の雰囲気も気温も一変しました。マイナス10度の日が続き、二重窓の外ガラスに氷結がキラキラ輝いています。抜けるような青空なのに日溜まりでも路上の氷は溶けず、漏水がスケートリンクを作っています。オボーロ市場行きの地下鉄には赤いリボンに鈴を付けた子羊を抱く少年物乞いが人気を集め、共産党時代はほとんどなかったクリスマス・イルミネーションがマゲル大通り2Kmに延々と輝き、氷点下でもブカレストっ子はいたって元気です。10月〜4月まではコンサート、オペラ、バレエのシーズンでアテネ音楽堂。国立オペラ劇場は連日多くの市民で賑わっていました。私も週末は小劇場からオペラまで冬のブカレストを楽しみました。なんと云っても入場料が500円弱と格安で、フラリと出かけても充分席が取れるのです。それでいて開演時間にはほぼ満席となり、コンサートが市民生活に溶け込んでいるのが分ります。オペラは桟敷席での鑑賞にすっかり填ってしまいましたし、アテネ音楽堂での国立ジョルジュ・エネスクフィルハーモニーに聴き入る老若男女に本当の豊かさを教えられた気が致しました。
12月15日。今年3度目の霧のような雪が朝から降り続いています。レポート整理の手を休めると、アパート内にアカペラの混声合唱が響き渡り、だんだんと近づいてきます。昨夜は少女2人組の可愛い天使の歌声が訪れてきました。「コリンダ」というクリスマスの行事だそうです。
12月22・23日。私も修復科コーラス隊の一員として教授宅を回るコリンダに参加しました。マリア先生のお宅からスタートです。玄関前で小さな鈴をならしながらルーマニア・クリスマスソングの合唱です。どの曲も懐かしいような、心優しいメロディーです。ファミリーに招き入れられて子供達も一緒に唄います。ワイン、ツイカ、クッキー、果物が振る舞われ、また唄います。雪道を移動して次は・・・モハヌ教授宅です。蔵書の中、先生のお作品も飾られた上品なお宅では、ケミストリーの奥様がにこやかに迎えて下さいました。あまりに純粋で素朴なコリンダに正直なところ違和感を感じたのですが、2日目には唄うことにより心優しい自分に戻れ、断食期間のため簡素な振る舞いは負担とならず、揃ってクリスマスを祝う感謝の輪なのではと想えリクエストに答え「雪やコンコン」を披露してしまいました。