西嶋 俊親 (絵画 /委員)
Toshichika Nishijima
1928 〜
千葉
題名 風涛よう然 mont-saint michel
サイズ 150F
最初の渡欧でここを訪れた日の印象は強かった。島を隠していた海霧が僅かに薄れ、そこに夢のように僧院が現われてきた時、私はかつて杳い日に此処に佇っていたことがある、という不思議な感覚を味わった。いわゆるデジャ・ビュであろうか。その幻想的な風景が描きたくて随分通ったものだ。海鳴りの激しい日、鐘の音の響く静かな日、スケッチを続けて30年余り経った今、ようやく大作を仕上げることができた。しかし、筆を擱いたあとで、描き足りぬ思いに追いかけられるのが常である。
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